コラム
緩和ケア
2024.12.04
講義で再会した看護師さんとの話
先日、私が新潟市の病院で看護師を対象とした緩和ケアの講義をした時の話しです。
講義が終了した時に「山田さん、覚えていますか?」と突然、声をかけられました。
お顔を拝見して、すぐに思い出しました。
その方は私が病院で勤務をしていた時にお看取りをさせていただいた患者さんの娘様でした。
お会いするのは5年ぶりでした。
娘様も看護師として勤務していました。
娘様は私に会うなり
「母の件では本当にありがとうございました。お礼を言いに何回か伺おうと思ったのですが、
なかなか行くことができませんでした。」と話します。続いて
「母が亡くなったという事実はわかるんですが、どうにも受け入れることができなくて…。
未だに母の部屋は入院したそのままの状態です。」と続けて話します。「でも…」
「5年も経って、ようやく何か母のいない生活に慣れてきたというか。ようやくですよ。
時が経つと…とよく言いますけど、何だか実感しています。」
と少し笑顔で話していました。
大切な人を亡くした人の喪失感は計り知れません。
そのつらさは当事者にしかわからないと思います。
でも無理に受け入れる必要はなく、その気持ちと上手に付き合いながら、そして揺れながら
1日1日を過ごしていくことが大切だと思います。
私のことを覚えていてくださっていたこと、そしてご自身のお気持ちを伝えてくれたことがとても嬉しい出来事でした。
Aさんとはまた会うことを約束しました。
そしてその日はお亡くなりになったAさんのお母様のことを思い出しながら、帰路につきました。